分譲マンションはいわゆる区分所有法の適用を受けます。区分所有法は、2名以上の区分所有者が存在すれば管理組合が法律上当然に成立し、この管理組合が敷地・共用部分の管理責任を負うと定めています。
まだ、区分所有法の共用部分という認識が希薄な時代に販売されたマンションでは当初より、管理費を徴収したり水道使用量を検針するなどといった、いわゆる組合運営を自分たちで行い、そういった事が当たり前のように受けとめられているマンションがあります。このように、敷地及び共用部分の管理についての管理業務を管理会社に委託せず、全て自らの手で行う管理方法を自主管理といいます。
「自主管理」のマンションのメリットとして、
1.コストを低く抑えられる、
2.住民の意識が高くなる、
という点があげられます。
そもそも、自分たちの資産なのだから自分たちで管理するという、当然といえば当然の結果といえるのではないでしょうか。
反面、管理会社の経理・財務部門からのサポートがない分、役員の業務負担が大きい、国家資格者である管理業務主任者(いわゆるフロント)からのアドバイスや指導が受けられないなどのデメリットがあります。また、標準的な管理方法と大きく隔たりのある運営が行われているケースもあります。
例えば、
①法律に反した決議・招集通知・役員資格・総会運営
②区分経理がされていない、共有部分と専有部分の管理範囲の不明瞭な線引き、衡平でない費用負担
③管理組合役員にとって管理組合にかかる業務量が大きな負担。招集通知書一式や議事録の作成、経理処理の記帳や工事の立会い、書類の保管作業等、自分達で行うと時間もエネルギーも多く要求されます。
そこで、「自主管理」でも一部を外部業者に依頼するという新たな選択肢が注目を集めています。費用的にも全部外部に依頼するよりは安くなるのが一般的です。外部に発注する仕事としては、日々の清掃や経理知識のいる会計処理等が考えられます。
以前、自主管理マンションでの支援活動では、定期総会議題の調整とその議題が理事会で適法に成立しているかどうかの確認、法律に則った招集通知の発信と総会運営、及びそれらに関係する規約の点検と見直しを行いました。
「自主管理」で組合員のコミュニケーションがしっかり取れていても、いざ、住民間の利害にかかる大きな問題を討議し決議しなければならない事態になった場合には、意見が激しく対立して合意形成がスムーズにいかなくなる可能性があります。日頃からマンション憲法とも言われる管理規約に則って適法適切に管理組合運営を図っていくことが大切です。
例えば、資格のない組合員の家族が総会で議決権を行使していた場合等は、過去に遡り今までの決議は無効であり、今回の決議がそもそも成立しないと主張されると、本題に入る前に大きな労力が費やされ、大混乱に陥る危険性もあります。
上記のような問題だけではなく、管理規約がないに等しい、自治会ルールの延長のような規則集を利用して世話役さんが頑張っておられるマンションからの相談もありました。
思い当たるところがある役員さん、まずはお気軽にご相談下さい
comment closed